10月8日(月)

3時間くらいしか寝てないからねむたくて、でもすぐ出かける時間になってしまう。今日は名古屋にあるON READINGでひらかれた、写真家の松岡一哲さんと浅田政志さんのトークイベントへ行ってきた。しわしわの顔にむりやり色を塗り、カンケンバッグに松岡さんの写真集『マリイ』を詰めこむ。『マリイ』は500ページほどあるので、とても重い。どうして寝不足なのかと、自分を責めたくもなってくる。寝るまえに、かんがえても仕方のないことをかんがえだして、眠れなくなることがたまにある。それにくわえ、昨夜は電子漫画までよんでいた。夫が握ってくれたおにぎりふたつを、電車のなかでいそいそと食べる。

ちかくに有名な動植物園のある駅に降りたつと、あまりにも天気が良いし子どもたちがそこここにいて、幸福感に目がくらむ。店に向かうと、松岡さんと浅田さんがたばこを吸うため、外にふらりと出てきて、どきりとする。着席して、あまり家ではゆっくり見られない、『マリイ』を膝の上でめくろうとすると(ちなみに鞄にしまいそびれ、イベント中もずっと膝にいた)、浅田さんが話しかけてくれたのだけど、とても気さくでやさしいかただった。会場には松岡さんの妻であり、写真集のテーマであるマリイさんもいらっしゃった。

イベントのことを書こうとすると、淡々とした議事録、みたいになってしまいそうで、それもどうなのだろうと思う。撮影のスタイルは全くちがえど、ながく友人であるというふたりのお喋りは、リラックスしていて、刺激的で、とにかく面白かった。とくに松岡さんの写真のひみつに、うつくしさを表現することのひみつに、すこしでもふれられたようで、とても嬉しかった。たくさんメモもしてきたが、簡単な言葉では、あまりまとめたくないような気もする。

オリンパスのμという、名まえに聞き覚えのあった、コンパクトカメラを使用されていることが、自分にとって衝撃だった。松岡さんの写真は、どうやって撮られているんだろう、とずっとふしぎだった。フィルムとはわかる、でも一眼みたいじゃない。うすくあいまいな色、何が撮られているのか、わからない写真もある。どれだけでも、それこそスマホでもきれいな写真が撮れて、それっぽく加工が簡単にできてしまう時代に、どうやって? 自分が写真を見るのも撮るのも好きだったのはかなり昔で、コンパクトカメラで撮った写真で有名になった女性を知ったことからはじまったのだが、その頃に熱狂していた写真とはちがう、でも懐かしさをどこかにかんじていた。

サインをいただいたとき、たどたどしくも気持ちを伝え(おこがましいを連発していた気がする)、握手をしてもらった。松岡さんの手はとてもあたたかかった。写真は見る行為。目は文章よりも先だ。でも願うことならわたしは『マリイ』のような文章を書いてみたい。

ON READINGでは、松岡さんの白をテーマにしたZINEと、ずっと気になっていた俳句と日記のリトルプレス、くどうれいんの『わたしを空腹にしないほうがいい』を買った。

いつもスケジュールに余裕がなく、立ち寄れたためしがない、コスメキッチンに行くことができたけど、何も買わずに帰る。ロールオンタイプの香水を、何種類も手首のおなじ部分に塗ってしまった。寝るまえにかんがえていたことが、すでにどうでもよくなっていた。お茶は家で夫としようと思う。あまりにもねむたかった。